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旅のお供にオススメしたい村上春樹の小説5選。旅に持っていく本が、旅の世界を作る件について

こんにちは、村上春樹さんの大ファンMichelです。

 
今日はタイトルの通り、私が旅に持って行った、もしくは持って行きたい村上春樹さんの本をご紹介します。
 
村上春樹さんは、拠点を国内外問わず転々としながら執筆されていたこともあり、小説の中に度々「旅」が出てきたり(新しい世界に飛び込むという意味も含む)、海外の素敵な景観を描写されていたり(ご本人は想像で書いて、書いた後に事実確認のために現地へ出向くのだとか)、とにかく異国へ向かう旅人に似た心理が小説の中に頻繁にでてきます。
 
また、旅=異国へ一人で行くことは、孤独や消失を多く味わうものです。そんな孤独や何かを失う喪失感が村上春樹さんの作品には多く出てきます

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見てください。この村上春樹さんの本の数(笑)
※本当はもっとたくさん持っていますが、並べるのが大変なのでこれくらいで。。(笑)
村上春樹作品の世界観や、小説に出てくる登場人物もとにかく好きで、ほとんどすべての小説を読破しました。

一人旅に本は必須だと思っています。
わたしは本無しで旅をするなんて考えられません。移動中、就寝前、カフェでコーヒーを飲みながら、公園で日光浴をしながらとにかく読書をするのがわたしの旅です。
それだけ、私の一人旅は読書に時間をかけるので、本選びはとっても重要。
 
そんな私が、とにかく自分と向き合う一人旅にもってこいの、村上春樹小説を紹介します。
 
あなたの旅をより素敵な世界にしてくれる本ばかりです。
 
 

海辺のカフカ

 私はこの本を、ヨーロッパへ一人旅へ行く直前に空港の本屋で購入しました。
なぜかというと、「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」という帯のキャッチコピーに惹かれたからです。

 

「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」――15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。家を出るときに父の書斎から持ちだしたのは、現金だけじゃない。古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、濃いスカイブルーのレヴォのサングラス。小さいころの姉と僕が二人並んでうつった写真……。 

見開きの帯に書いてあった、こちらの紹介分にも惹かれました。(単純)

父を殺し、母と姉と交わる」という父からの呪いから逃げるため、主人公のカフカ少年は旅に出ます。結果的にこの呪いを巡って、様々な登場人物と道中で出会い物語の伏線がだんだんと繋がっていきます。

また、カフカ少年の旅先で徐々に物語がクライマックスへと展開していくので、自分の旅と照らし合わせたりなんかして、一人でワクワクしていました。

「世界は万物のメタファーだ」というフレーズが何度か出てきますが、自分が旅で見たもの、出会った人も万物のメタファーなのだな、としみじみしたり。

でも、実際本当にそうで、直接的なことだけが人生すべてではないし、どこか遠くでメタファー的に作用したことが自分の人生を変えることだってありますよね

そんな途方もない考えに暮れられるのも、旅先でだけかもしれません。

世界の終りとハードボイルドワンダーランド

「世界の終り」と「ハードボイルドワンダーランド」の2つの世界のストーリーが交互に登場するお話しです。

別々の物語として展開していきますが、謎の一角獣の頭蓋骨を巡り、物語が徐々に交差していきます。

私はこの物語を3回読みましたが、読むときの心情や環境でとらえ方が変わってくるところがとても気に入っています。

この物語は「こころ」をある種テーマにした物語で、読んだ後は自分の気持ちやこころを見つめなおすきっかけを与えてくれます

辛いこともある人生だけど、そんな辛さを感じるのも「こころ」があるからこそ。旅をしながら、美しいもの、素晴らしいものに触れ、感動するのも「こころ」があるからこそ。

そんな気づきがあり、旅をより思慮深いものにしてくれるはずです。

「疲れを心の中に入れちゃだめよ」

「いつもお母さんが言っていたわ。疲れは体を支配するかもしれないけれど、心は自分のものにしておきなさいってね」       P.88より


ダンダンダン

 この物語も、とってもおすすめです。
こちらは、風の歌を聴け (講談社文庫)1973年のピンボール (講談社文庫)羊をめぐる冒険 文庫 上・下巻 (講談社文庫)のシリーズ作で4作目の作品となります。

ダンダンダンス単独でも楽しめるかと思いますが、シリーズを最初から楽しみたい方は風の歌を聴け (講談社文庫)から読むことをおすすめします。

ダンダンダンスでは、30代の男性主人公と、12歳のユキという少女がメインに物語が展開していきます。

このシリーズには多くの「死」が出てきます。ダンダンダンスにも、ある「死」が登場します。そんな時に少女のユキがある人の「死」についてこんな発言をします。

「自分が(死んだ人に対して)ひどいことをしたような気がする」

そんな少女の発言に対し主人公はこんなことを言います。

「そういう考え方は本当にくだらないと思う。後悔するくらいなら君ははじめからきちんと公平に彼に接しておくべきだったんだ。少なくとも公平になろうという努力くらいはするべきだったんだ。でも君はそうしなかった。だから君に後悔する資格はない。全然ない」

さらに、こう言い加えます。

「ねえ、いいかい、ある種の物事というのは口に出してはいけないんだ。口に出したらそれはそこで終わってしまうんだ。君は彼に対して後悔しているという。でももし僕が彼だったら、君にそんな風に簡単に後悔なんかしてほしくない。口に出して『酷いことをした』なんて他人に言ってほしくないと思う。それは礼儀の問題であり、節度の問題なんだ。」

それに対し少女は「いったい私はどうすればいいのかしら」と涙を流しながらつぶやきます。
そのつぶやきに、主人公はこう教えます。

「何もしなくていい。言葉にならないものを大事にすればいいんだ。それが死者に対する礼儀だ。時間が経てばいろんなことが分かるよ。」

「人の生命というのは君が考えているよりずっと脆いものなんだ。だから人は悔いのないように人と接するべきなんだ。そういう努力をしないで、人が死んで簡単に泣いて後悔するような人間を僕は好まない」

好きなパートを引用したら長くなってしまいました。
でも、生きていればこういうことは起こりがちです。人が亡くなってから、自分の前から消えてしまってからこうすればよかった、ああしとけばよかった、ひどいことをしてしまった、と後悔するくらいならいつも人には自分なりに誠実に公平に接すべきという、忘れがちな教訓を思い出させてくれます。

生と死の壁は驚くほど脆く薄いです。自分の人生も、相手の人生も限られているからこそ、いつも他人とは自分なりに真剣にに向き合うべきなのだ、と明日からの自分の生き方を見直すきっかけになりました。

旅先では一期一会がたくさんあります。そんな出会い一つ一つにも誠実に公平に、大事にしたいと思える一冊です

 スプートニクの恋人

私がこの物語が好きな理由は、物語の中で描写されるギリシャのある島の穏やかさと、登場人物が発する言葉がすぅっと心に入るような透明感があることです。

主要登場人物の一人である、ミュウが言うこのセリフが大好きです。

「どんなことでもそうだけれど、結局いちばん役に立つのは、自分の体を動かし、自分のお金を払って覚えたことね。本から得たできあいの知識じゃなくて」

 こんなことをさらりと言える素敵な女性に自分もなりたくて、自分もたくさんの経験を重ねていきたいと思っています。

何かを得た人の意見を聞いたり文章を読んで、なんとなく自分も学んだような気になります。また、これは私の考えなのですが、本を読むことはその筆者が数年間かけて得た知識や哲学を数時間で自分のものにすることができる、とっても効率的なツールだと思っています。

ですが本当に、百聞は一見にしかずのとおりで、自分が実際に体験して初めて得られることって多いですよね

エピソード紹介から話がそれてしまいましたが、そんな素敵な女性に恋する少女の物語です。

人間はとある経験をきっかけに「損なわれる」ことがあります。ミュウもそんな損なわれた人間の一人です。ミュウの本来の部分はあちら側にあり、そんなミュウに恋する少女すみれは、ミュウのあちら側を探し求めます。

人間の見えている部分だけがその人だけではないこと、別の世界に置き去りにされた感情や人生があること、そんな部分に哀愁を感じる作品です。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

これは、私のお気に入りベスト5に入る作品ではないですが、旅にはおすすめしたい一冊です。

ある時をきっかけに親友だと思っていた人たちから遮断された主人公、多崎つくる。そんな彼が、その理由ひとつひとつを集めるために旅へ出かけます。

大人には、なんとなくそのまま放っておいてしまう問題があること、そしてその問題が気づかぬ間に人を傷つけてしまうこと、そんなことが、大人どおし本気でぶつかり合うことが減るぶん起こりえます。主人公もそんな問題に傷つけられた一人でしたが、友人を巡礼し、自分の想像もまた、友人たちを傷つけていたのではないかという問題にも直面します。

人が想像をする時点で、責任は始まっているのかもしれない。

そんなことを考えさせれられる一冊です。

この本に出てくるフィンランドの描写も私はとっても好きで、フィンランドへ行ってみたくなりました。

終わりに

いかがでしたでしょうか。旅のお供として手にとってみたい一冊が見つかれば幸いです。

最後に一言。村上春樹作品をよむにあたって私が感じることを一つ。

私が村上春樹さんの小説が大好きな理由の一つに「よくわからないところ」というものがあります。ファンタジー的な要素もあり、非現実的でたまによくわからない部分があるのです。だけど、読み手一人ひとりの心情や人生次第でその「よくわからないところ」の解釈が変わるところ、そして読み手がそれぞれの物語としてとらえられる楽しさがあると思っています。

直接的ではないけれど、間接的に村上春樹さんの人生観を垣間見れるところも大好きです。

 よくわからないものを、わからないなりに自分のものにしていく大切さを教えてくれます。